国立大学法人化に伴い、大学から生み出される知的財産に着目されると同時に、大学研究における他者の知的財産の利用についても議論がされ、我が国においても「ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許の使用の円滑化に関する指針」が策定されている。しかしライフサイエンス分野においては、特許権よりも研究マテリアルの利用の方が研究遂行に影響を与えているという複数の報告がある。本研究では大学の研究を促進するために速やかに研究マテリアルを入手しつつ、同時に大学研究から生じる知的財産の活用も促進する知的財産マネジメントのあり方を探ることを研究目的とする。 平成21年度は研究マテリアルの移転の実態を把握するため、京都大学「医学領域」産学連携推進機構より契約当事者の匿名化をした入手MTAの情報を基に、入手マテリアルを利用して得られた研究成果として特許出願及び論文公表の有無を入手研究者名を手掛かりに調査し、現在それらの文献の内容を精査している。また、マテリアル・トランスファー・アグリーメントのひな形や契約担当者のためのツール開発について、国立遺伝学研究所、九州大学及び東京医科歯科大学のMTA担当者と協議しモデル開発を行った。
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