本研究においては、日本人移住者が定住する南米諸国において一般的に抱かれている「日本人は組織力が高い」であるとか、「日本人は組織運営に長けている」という通念を足掛かりに、ボリヴィア、ペルー及びブラジルにおける日本人移住者の組織的営みに関する調査及び収集資料を基に事例を記述した。これらの事例の比較・追試分析から、通じた探索的かつ理論的な考察を行い、日本人移住者は、移住初期の諸困難を自らの営為によって克服していること、組織の運営に携わる役員の献身とそれに応える組合員の奉仕によって協同を促進していること、が明らかになった。このことを本研究の理論枠組みに照らし合わせ、運動論の視覚からは「自責」を核にした運動が展開され、協同組合論の視覚からは「相互扶助」に基づいた組織運営がなされていることを、仮説的な結論として導出した。
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