平成20年度は、住宅業界と自動車業界を対象に、定量的分析と定性的分析を同時並行的に実施した。 定量的分析に関しては、ネットワーク分析を用いて、住宅メーカー及び自動車メーカーの系列ネットワークの構造、系列ネットワークへの専門工事業者、もしくはサプライヤーの埋め込みの程度を分析した。この結果、組織間コミュニケーションの密度・頻度については、建設業界が自動車業界に劣るということは認められなかった。つまり、建設業界が自動車業界に対して生産性において劣る原因は、組織間コミュニケーションの量というよりもむしろ質に問題があることが予見された。従って、両業界において組織間コミュニケーションが組織間学習に貢献する程度を定性的に分析することの必要性を認識した。 また、定性的分析に関しては、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの本社にインタビュー調査を実施した。インタビュー内容は、新規に工場を設立する際の工場内における生産管理方法の定着過程と、サプライヤーの開拓・育成方法についてである。前者については、既存工場から新規工場への指導人材の派遣方法、既存車種の生産による生産管理方法の既存工場から新規工場への移転過程などを確認した。後者については、系列サプライヤーを進出させるにとどまらず、系列外のサプライヤーを開拓するノウハウを確認できた。 以上の内容は、現在論文として執筆中である。発表する雑誌としては、Asian Busineess & Management誌から寄稿依頼が得られた。
|