本年度は、自動車部品の設計構造行列(以下、DSM)の作成と、同じく自動車開発におけるソフトウェア開発の状況について調査を行った。 第一の自動車部品のDSM作成には、自動車部品メーカーのエンジニアに協力をいただき、詳細なDSMの作成を行うことができた。前年度に検討した効率的なDSMの作成手順の検証を行うとともに、作成したDSMについてクラスタリングなどの分析を行った。分析の成果については、まだ分析途中であること、また協力いただいた企業の許可を得ていないことから、公表は行っていない。 さらに、ソフトウェア分野におけるDSM分析の予備的調査として、自動車におけるソフトウェアの機能安全に関する標準化について、取り組みの進んでいる欧州の自動車メーカーおよび大手部品メーカーを訪問して聞き取り調査を行った。ソフトウェアの機能安全は昨今の自動車業界における非常に大きなテーマになっている。物理的な部品と同様にソフトウェアにおいても構成要素(プログラム)間の複雑な相互依存関係が存在する一方、物理的な部品とは異なり目で見て確認することが難しいという特性がある。DSM分析を通じて、より効率的なソフトウェア開発プロセスに貢献できる可能性があるが、そのための分析手順にはハードウェアの場合とは異なった配慮が必要であることが確認できた。
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