本研究は、主にミクロ組織論の視角から、日系多国籍企業内の知識共有・活用における担い手のマネジメントと人的資源管理制度に焦点をあてるものである。近年、海外子会社間の人的連携はますます緊密になっており、その結果ローカル人材によって、国境を越えた知識共有・活用が効果的に実行されている事例が発見できた。有効な知識共有・活用のためには、ローカル人材のモチベーションを高めることが重要であり、ローカル人材向けの人的資源管理制度の構築のみならず、ローカル人材と本国人材との心理的障壁を排除するような何らかの仕組みが必要であることも示唆された。
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