本研究では、日本のオンライン証券業界における成功要因を、一時点での比較にとどまらないダイナミックな観点から定量的・定性的に検証を行った。その結果、「先に参入していた企業の方がオンライン証券業界から撤退するリスクが低かった」という、先行者の優位性の存在や、「一般的に顧客に評価される提供商品の多さや手数料の低さといった施策や、頻繁に取引を行い、オンライン証券会社に利益をもたらすようなコア顧客を獲得したりつなぎ止めたりするのに重要である信用取引などの施策が、生存時間に正の影響を与えること」が明らかになった。また、そういった差異に影響を与える商品・価格戦略の重要性の認識が、企業によって異なっていたことが分かった。
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