コーポレート・ガバナンスの視点から、取締役会形態が企業の環境条件に応じて変化することを、日本企業のガバナンス改革の実態を捉えることにより、解明をした。(生産)財の特殊性が高く、組織アーキテクチャが情報共有型であり、株主の影響力が弱い企業では、従来型の日本のガバナンス形態の特徴を帯びた社内出身者から構成される取締役会形態をもつことが多い一方で、(生産)財が比較的コモディティ化しており、情報異化型ならびに、分権的ヒエラルキー型の組織アーキテクチャをもち、かつ株主の影響力が強いような特徴を帯びた企業では、社外取締役から構成され、委員会が設置されている取締役会を採用するケースが多いことが確認できた。その上で、このような組織特性や株主所有構造のようなコンティンジェンシー要因とガバナンス形態との間の適合性が企業業績に正の影響を与えていることを実証した。
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