コーポレート・ガバナンス政策論を確立するにあたり、平成20年度は、 (1) コーポレート・ガバナンス原則論に関する研究、 (2) コーポレート・ガバナンス原則論とコーポレート・ガバナンス政策論の関係に関する研究の2つを行った。 具体的内容は、まず、 (1) コーポレート・ガバナンス原則論に関する研究では、複雑化した企業経営を取り巻く環境において、社会システムを繋ぐ役割を果たすものは、原則であることが解明した。そして、原則が、企業間における緩やかな統合的役割を有していること、原則が各国間の企業法制度に関する条約としての機能を有するに至りつつあることを明らかにした。意義は、これまで明らかにされることのなかった原則の隠れたる任務と使命を明らかにした点である。 つぎに、 (2) コーポレート・ガバナンス原則論とコーポレート・ガバナンス政策論の関係に関する研究では、コーポレート・ガバナンス政策論は、 (1) 国や政府が主体となり実施する制度政策、 (2) 企業が主体となり実施する経営政策、 (3) 市民社会の合意と行動により形作られる社会政策からの3つからなる。そして、これら3つめ実施主体が、コーポレート・ガバナンス構築のために使用する道具が、 (1) では、コーポレート・ガバナンス原則、 (2) では企業独自コーポレート・ガバナンス原則、 (3) では、コーポレート・ガバナンス原則であることを明らかにした。意義は、コーポレート・ガバナンス原則論とコーポレート・ガバナンス政策論の親密な関係を明らかにした点である。
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