研究概要 |
今年度の研究成果として, 国際的にCREの研究, または実践活動を行っているCoreNet Globalの各種会合に積極的に出席した。具体的には7・9月に東京(エグゼクティブフォーラム, MCRセミナー), 9月にベルリン(ヨーロッパ・サミット)などがあげられる。このような各種会合を通じて, 国内外の研究者や実務家との交流を果たし, 貴重な情報を得ることができた。同時に日本でCREマネジメント活動を推進しているCREマネジメントコンソーシアム(CREC)の活動に参加し, 7月と10月のイベント(「CRE戦略実践を支援する情報システム」・「CRE戦略の実践によるB/S・P/Lへの効果」)に貢献した。 上記のような情報交換や文献収集を通じて, 欧米と日本のCREに対する意識ならびにマネジメント手法の差異について理解することができた。つまり, 日本のCREマネジメントは短期的で, 具体的な経営手法や手段といった戦術面に偏っている傾向がある。一方で欧米のCREマネジメントは長期的, かつ概念的な視点でとらえられている。特にそのような特徴は国土交通省が昨年に刊行した『CRE戦略実践のために-ガイドラインと手引き-』からもみてとれる。しかしながら, 最近では欧米の企業も不動産の生産性や効率性に非常に敏感である。そのため, 日本と同様, 短期的な成果を求める傾向にある。いずれにせよ, 日本や欧米の企業とも会計処理に代表される制度変更への迅速な対応がCREについても求められている。 欧米の研究者や実務家において, 日本におけるCREマネジメントに対する取り組みについての認知度は低い。言葉の問題もあり, ほとんど理解されていないのが現状である。
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