研究概要 |
今年度は研究期間の最終年度にあたり,一昨年度の欧米のCREマネジメントに関する理論的整理や,昨年度の日本のCREマネジメントの内容の把握に加えて,日本のCREマネジメント研究の特徴について,歴史的変遷や理論的なフレームワークを整理した。その内容として,日本ではCREマネジメントという言葉が2000年代中期から使用されてきたものの,1980年代後半には土地本位経営という言葉が使用されるように企業経営にとって欠かすことのできないものであった。しかしながらバブル崩壊による地価下落を背景として,企業不動産は企業経営にとってリスク資産となっている。最近になって,再び注目されているものの,企業組織における縦割りの弊害,ICTなどの初期投資の必要性,人材の不足などの問題点や,導入による効果が見えにくいことがCREマネジメントの普及に大きな障害となっている。そのため,日本においてCREマネジメントを進めていくためには,理論的フレームワークの確立と各種指標による見える化が必要である。 なお,今年度の研究成果については,European Real Estate Society Conference 2011(オランダ・アイントホーフェン,6月15~18日)にて報告を行う予定である。また,研究の成果物として,「欧米のCREマネジメントと日本の動向(仮)」というタイトルで研究書の刊行を予定している。
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