本研究の目的は、不正の通報という現象において、内部通報行動の促進要因を明らかにすることにある。特に、組織成員の組織に対する関わり方が、どのように通報行動に影響をするのかについて、本研究で行ったアンケート調査と理論モデルを用いて様々な立場の整理を行った。不正の通報をする組織の成員は、その組織に対してどのような関わりをもとうとしているのかは、組織コミットメントの概念を用いて測定した。組織コミットメントは複数の次元・対象を持つことを整理するために、Meyer and Allen(1997)が主張する組織コミットメントの3次元を測定した。特に、組織コミットメントの主要な次元である情緒的コミットメントと存続的コミットメントを取り上げて分析を行った。これに基づき、内部通報をする前と後とでの存続的コミットメントの働きに着目して、情緒的コミットメントだけでは説明のつかない行動を読み解くための理論的モデルの構築を行った。
|