本研究は、近年、製品開発力の決定要因として新たに注目されつつあるデザイン要素に注目し、質問票調査により、製品イノベーションにおけるデザイン部門の機能と役割を明らかにすることと、高パフォーマンスの製品開発マネジメントにおけるデザイン部門のマネジメントの特徴を明らかにすることによって、今後の産業競争力構築のための指針を得ることを目的とする。 製品デザインが企業の競争力に与える影響についての研究は、主として海外で行われてきた一方で、国内においては、幾つかの研究が例外的に見られるのみであり、デザイン部門のマネジメントに関する基本的な資料が存在しない。そこで、初年度計画では、質問票調査を実施することで、日本企業のデザイン部門に関する基礎的情報の構築を目的とした。 まず、企業のデザインマネジメントの実態を明らかにするために、インタビュー調査を実施した。インタビュー対象企業は主として大企業であり、製品デザインの秀逸さで著名な企業を選択した。質問項目は、デザインマネジメントの特徴、研究開発とデザインマネジメントとの関連などである。このインタビュー調査を基に、質問票の質問項目を設計した。 質問項目は、デザイン活動の有無、デザイン組織の形態、研究開発活動とデザイン活動の連携の程度と連携の方法、デザイン戦略の特徴、デザインマネジメントの特徴についてなど'である。また、同時に成果の指標である、売上高や営業利益等についても尋ねた。 質問票調査は、第4四半期に実施した。調査対象は資本金1億円以上であり、かつ研究開発活動を行っていると目される企業約3500社である。回収率は約33%であった。
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