本研究の目的は、ブランド・リレーションシップの発達の論理の解明、すなわち、消費者のブランドに対する愛着がどのように生まれ、どのようにして発展していくのかについての論理を既存研究及び実証研究によって展開しながら明らかにすることにある。これにあたり、本研究では3つの研究課題を設定している。本年度は、まず最初の研究課題であるブランドへの愛着の発達メカニズムの論理について、消費者行動研究における愛着形成に関わる既存研究の整理を行った。その成果は、2008年5月に法政大学にて行われた日本商業学会(タイトル :「ブランド研究における関係性問題の位置づけ-ブランド・リレーションシップ概念の検討」)で発表している。ちなみにこれらの既存研究のレビューについては、現在、論文化を進めており、来年度中にまとめて論文化を行う予定である。さらに本年度は、本研究の第2の研究課題である、既存研究からの論理の考察と検証を行っている。そこでまず着目したのは、愛着発達に関わる要因としての状況要因であるライフイベントの影響である。なお、その成果は、2008年6月にADKで行われた日本消費者行動研究学会(タイトル : 「ブランド・リレーションシップとライフイベント消費」)で発表し、さらに「変化する女性のライフイベント消費」(青木幸弘他著「ライフコース・マーケティング』)として執筆している。さらに来年度は、愛着発達に関わる要因としてのストレス、及びコ・クリエイション(もしくは共創価値)概念に着目して研究を進める予定であり、来年度中にはこれらの研究成果について論文としてまとめていく予定である。
|