研究概要 |
本研究の目的は、ブランド・リレーションシップの発達の論理の解明、すなわち消費者のブランドに対する愛着がどのようにして生まれ、どのようにして発展していくのかについての論理を既存研究及び実証分析によって展開しながら明らかにし、企業のブランド・マネジメント戦略への適用を考察することである。 この研究の目的にあたり、本研究は具体的な3つの研究課題から構成される。第1は、ブランドへの愛着の発達メカニズムの論理について、消費者行動研究における愛着形成に関わる既存研究を整理すると共に、発達心理学のBowlby(1969,1973,1980)のアタッチメント(愛着)理論などの他分野における愛着に関わる研究を整理することで、愛着がどのような環境によって発生し、発達していくのかについてのメカニズムを考察することである。第2は、これらの既存研究からの考察から、消費者がなぜ、どのようにしてブランドに愛着を感じるようになるのかについての論理の考察と検討を行い、消費者調査によって論理の検証を行うことである。第3は、第1、第2の研究課題から導き出された論理について、企業のブランド・マネジメント戦略への適用を考察することである。ここでは、特にIMCの視点から、ブランド・コンタクトポイントにおけるブランドへの愛着形成との関連について考察を行い、企業のブランド・マネジメント戦略への適用を検討する。 本研究は、これらの3つの研究課題にもとついて研究計画を策定し、平成20年度には、第1課題である愛着の発達に関する文献レビューの整理及び検討、及び第2課題の前半部分である理論モデルの検討と修正までを行った。翌平成21年度には、第2課題の後半部分である理論モデルの仮説の検証、及び第3課題である理論モデルのブランド・マネジメント戦略への適用に取り組んだ。
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