本研究の目的は、消費者が関連購買において複数ブランドを同時に考慮する際の購買意思决定プロセスについて、特に消費者のブランド知識がいかなる役割を演じるかについて、理論的、かつ経験的に考察を加えることであった。初年度に発見された知見から、複数ブランドの同時考慮においては、ブランド知識に加えて消費者を取り巻く状況要因も強く影響することがわかった。この点を受けて、本年度は大きく3つの作業を行った。 第一に、初年度に引き続き既存研究のレビューを行った。具体的には、初年度にも注目した関連購買や知覚適合、ブランド連想、ブランド拡張などに加え、理想自己や拡張自己といった自己概念や、家族や同伴者といった対人影響に関する諸概念にも注目した。その結果、特定目的に沿った複数ブランドの考慮において、理想自己や同伴者からの影響といった視点からの分析も意義あるものであることがわかった。また、消費行動の内面の解明には、解釈といった手法も有用であることも判明した。 第二に、小売店頭やメーカーによるマーケティング展開に関する状況を把握するために、初年度に引き続き、実際の商業集積などにおける観察調査および経験調査を行った。その結果、特に消費者自身のイメージ形成に関わる目的志向性強い購買行動においては、同伴者からの影響が強く出ていることがわかった。企業側のアプローチもこの点に注目したものが確認され、その重要性について再確認した。 第三に、消費者の複数ブランドの同時考慮プロセスについて解明するために、同伴者と共にカタログショッピングを行ってもらう実験を行った。結果については現在も分析を進めているが、侍に同伴者との関係性によって購買意思決定過程も変化することが確認された。
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