本年度は研究の最終年度であり、法規制と自主規制ほの消費者保護施策の配分方法について考察すべく、取引活動における自主規制が企業の営利性と両立しうるという観点から、自主規制の類型化を以下の2点に着目して行った。 第一に、企業の営利性との両立を判別する観点から、自主規制が法規制を上回るか否かではなく、法規制と代替的関係に立つか否かに着目した。第二に、マーケティングの本質が顧客対応にあるという観点から、自主規制の内容を、綱領や基準の策定やその第三者認証を得るといった事前的対応であるか、顧客からの個々のクレームへの対処や紛争処理といった事後的対応であるかに着目した。 そして自主規制を、法規制と直接代替的な関係に立たない基準の策定にとどまる第一段階、基準を策定することで法規制を回避しうる第二段階、法規制との代替的関係には立たないが基準策定だけでなく事後的な紛争処理・消費者の苦情対応に拡張する第二段階、自主規制が紛争処理に及びかつそれが法規制と代替的な関係に立つ第三段階に四分類した。現状では多くの自主規制が第一段階にとどまるが、景品表示法上の公正競争規約は第二段階の前者、製造物責任法への対応から事業者団体が設立したPLセンターが第二段階の後者に該当する。そして、第一段階⇒第二段階⇒第三段階の順に企業・消費者双方にとっての有効性が高まることを論じた。
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