本研究の目的は、「多国籍企業」と呼ばれる巨大製造企業の中でも日本多国籍企業(とくに輸送機械と電気機械)におけるグローバル・ブランドの管理(以下ではGBMと略記)について、親会社のブランド管理組織と地域統括本社との間における意思決定調整の実態を明らかにすることである。 ブランド管理組織の研究自体が世界的にみて稀であり、さらに当該組織の管理内容・管理プロセスに注目した研究は皆無といってもよい。また、GBM研究についても研究蓄積に乏しい状態である。これらを考慮すると、本研究の意図する成果はGBMの発展にとって有益であると考えられる。 今年度は、これまでの研究のブラッシュアップと新たな文献の収集に目的を絞って研究を行った。多国籍企業におけるグローバル・ブランドの現状や当該企業がグローバル・ブランドを重視する動機について再調査を行うとともに、同年度までの文献をレビューした研究論文「なぜ多国籍企業にとってグローバル・ブランドは重要か」(日本大学商学部『商学集志』第79巻1号、2009年6月公刊予定)を執筆した。これにより、次年度以降に行うアンケート調査および海外フィールドワークのための素地を整えることができた。
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