本研究の目的は、多国籍企業の中でも日本の耐久消費財企業(とくに輸送機械と電気機械)におけるグローバル・ブランドの管理について、親会社のブランド管理組織と地域統括本社との間における意思決定調整の実態を明らかにすることである。ブランド管理組織の研究自体が世界的にみて稀であり、さらに当該組織の管理内容・管理プロセスに注目した研究は皆無といってもよい。また、グローバル・ブランドの研究についても研究蓄積に乏しい状態である。これらを考慮すると、本研究の意図する成果はグローバル・ブランドの管理の発展にとって有益であると考えられる。 平成20年度から21年度にかけて、多国籍企業におけるグローバル・ブランドとその管理組織の現状について整理を行った。また、これまでの研究蓄積に基づく分析枠組みや仮説のブラッシュアップについても一定の進捗をみることができた。 最終年度に行う予定のフィールドワークでは、日本多国籍企業の親会社と欧州地域統括本社を主な対象としているが、その前段階として平成22年度は日米欧韓の多国籍企業に対する定量調査を実施した。ただし、その途中で東日本大震災が起こり、国内外で質問票の発送・回収が困難になったため、一旦作業を中止し、状況が改善するまで待機している。
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