空港民営化が世界的な潮流となるなか、わが国でも空港の効率的経営が重要課題となっており、とりわけ地方空港の採算に関して注目が高まっている。わが国の地方空港の特徴として、二元的な所有・運営構造が指摘され、空港本体は国または地方自治体、旅客ターミナルビルは株式会社(第3セクター)が所有・運営している結果、空港本体(エアサイド)と旅客ターミナルビル(ランドサイド)との相互の補完関係による空港全としての効率性を達成でない問題点が指摘されている。 他方で、空港民営化の先駆けとなったイギリスでは、殆どの地方空港がターミナルビルを含めて一体的に所有・運営されている。そとで、わが国の地方空港が効率的経営を目指すなかで、ターミナルビルとの一体的経営が有効であるか否か、くわえて空港の(官民の)所有権構造が効率性にどう影響を与えているかについて、日英の地方空港の定量的な比較研究を通じて明らかにすることが本研究の目的である。 分析には空港の効率性計測では一般的なノンパラメトリックな手法であるDEA(包絡分析法)を用いて、(1)日本の地方空港では、ターミナルビルとの一体的経営をおこなうことで空港全体の効率性が改善される、(2)空港の所有形態は公営より民営のほうが相対的に高い効率性達成する、という2種類の仮説を検証した。その結果、地方空港においても民営が公営よりも効率性に優れていることが明らかとなり、さらには日本もイギリスも空港本体とターミナルビルとの一体経営により空港全体の収支改善が期待されるものの、効率性においては日本の非航空系部門がイギリスより劣ることが明らかとなった。
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