研究概要 |
平成20年度〜21年度にかけて行なう「インベスター・リレーションズの経済的効果の測定」研究は、平成20年度は会社業績予想に焦点を当て、21年度についてはセグメント情報を用いた研究計画を立てている。会社業績予想に関する研究の成果としては、査読論文2本の刊行および学会報告を3回行なうことができた。その中では、わが国企業が決算情報の発表直前情報に駆け込み的に業績予想の修正を発表することを明らかにした。また、駆け込み的な業績予想修正発表においては、数日後に発表される決算情報とまったく同じ値が修正値として発表されている例があることを指摘した。これは先行研究ではいまだ指摘されていない点であり、こうした修正発表が実証的会計研究に与える影響などを考察し、論文として発表することができた。また、本研究の実施計画において重要となる、日本IR協議会と共同での調査についても、平成20年度、21年度ともに「IR活動の実態調査」を実施し、両年ともに上場企業1,000社以上のサンプル回収を達成し、そこでのデータにもとついた研究を行なった。20年度については業績予想作成プロセスに関する質問調査を行い、企業が作成する業績予想値には経営者バイアスが存在することを確かめ、これもまた論文発表している。質問調査票を用いた経営者バイアスの研究は先行研究では行なわれたことがなく、これもまた本研究に意義が見出せると考えている。21年度の実態調査では企業がIRとして発表するセグメント情報について質問を行なっており、これについては現在、分析を進めている段階にある。
|