研究概要 |
本研究課題は日本の会計史に関する研究の中で欠けている領域の一つである,企業の意思決定と会計記録の結びつきに関する研究を進展させるものである。特に,明治期以降の近代化過程における,より原始レベルの記録からの研究が求められている。先にふれた研究においても会計システムについての検討はみられるが,この会計記録が個々の企業でいかに用いられたのかについては未だ十分に明らかになっているとは言えない。研究機関の間で本研究課題が明らかにすることは,この不明な部分,すなわち会計記録と企業の意思決定との結びつきであり,これを実際の会計データとそれを支える諸史料を用いて明らかにすることである。より具体的には,個別の企業内外の事件(信用収縮や経営上の意思決定等)の中で会計記録が用いられた痕跡を探求し,意思決定に役立った集計数値を導き出すための経路を逆にたどっていくという手続きを踏んで上記を明らかにするものである。
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