四半期決算短信が導入された平成16年から平成18年にかけて、東京証券取引所1部上場企業から業績予想とアナリスト予想の両方を入手できる946社をサンプルに検証を行った。その結果は以下の通りである。 1. 経営者が業績予想を上方修正した場合、修正後の業績予想は実績値より低く、保守的な傾向が強い。その一方、下方修正した場合は、実績値よりも高く、楽観的な傾向が強いことが明らかとなった。すなわち、経営者が業績予想を修正する際、上方修正の場合でも、下方修正の場合でも、その修正幅を現状より控えめにする傾向があるといえる。 2. 証券アナリスト予想の傾向については、業績予想が上方修正された後の証券アナリストは、業績予想と同じく保守的な傾向にあるが、その傾向は業績予想よりも強いことが明らかとなった。また、業績予想が下方修正された後の証券アナリスト予想は、業績予想と同様に楽観的な傾向にあるが、その傾向は業績予想よりも顕著であるという結果を得ている。 3. 経営者が発表した業績予想の修正と逆の方向に修正した証券アナリスト予想の精度と、業績予想の修正値が発表されても、予想を据え置いた証券アナリスト予想の精度は、修正後の業績予想の精度よりも低いということも観察することができた。
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