研究概要 |
阪神大震災以降, 日本の非営利組織の規模は拡大し, その数は増加している。このため, 非営利組織においてその存続に関して競争が生じている。非営利組織は自らがどのように存続し, 活動を継続していくのか, そのための資源をどのように確保するのかという問題に直面しているのである。そこで, 本研究では非営利組織が活動を継続して行うためには, その財務基盤を何に求め, どのような会計を行うべきであるのかについて研究することを目的としている。 平成20年度は, 日本よりも寄付文化が発達しているといわれているアメリカの非営利組織制度について, 財務会計基準審議会(EASB)を中心として概観するとともに関連する文献等を用いて研究課題に関する先行研究のレビューを行った。アメリカでは非営利組織の会計は財務会計基準審議会により統一されており、純資産(寄付金等により構成される)については永久拘束、一時拘束、無拘束といった三区分で財務諸表を作成するように定まっている。一方, 日本の非営利組織の会計では、業種態ごとに会計の制度が決まっており、非営利組織としての会計が統一されているわけではない。このため、各非営利組織はそれぞれの定められている会計基準あるいは準則等にしたがって会計を行っており、寄付金や利益、助成金といった財務基盤にしたがって会計が行われているわけではなかった。ただし、そこに定められている会計基準はその法人の会計上の特徴が表示されるように定められている場合もあった。本研究では、日米それぞれの会計の特徴について整理・検討するとともに、日本の非営利組織の業種態別にその会計についても整理・検討を行った。 また, 非営利組織の財源に関連する研究内容を報告している学会に参加し, 現時点における研究はどのように行われているのかという研究方法の調査・把握にも努めた。
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