研究概要 |
阪神大震災以降,日本の非営利組織の規模は拡大し,その数は増加している。このため,非営利組織においてその存続に関して競争が生じている。非営利組織は自らがどのように存続し,活動を継続していくのか,そのための資源をどのように確保するのかという問題に直面しているのである。そこで,本研究では非営利組織が活動を継続して行うためには,その財務基盤を何に求め,どのような会計を行うべきであるのかについて研究することを目的としている。 平成21年度は,非営利組織の会計について,とくにその財源に注目して検討を行った。比較的大規模な非営利組織の財務諸表等を調査するとともに,インタビュー調査なども合わせて行った。その結果,非営利組織の財源は比較的大規模の営利組織(あるいは助成団体)から資源の提供を受けている場合も存在することがわかった。このことは,非営利組織の寄付金とする資源の調達源泉が個々人々からの資源の提供ではなく,継続的な資源の提供を受けている場合もあることを明らかにしている。すなわち,継続的な資源は調達源泉者の意図(あるいは制約)をどれだけ受けているのか(例えば5年間,同じ企業からどれだけの金額の寄付金があったのかなど)についても明らかにする財務諸表を考慮する必要性があることを示唆していると考える。このことは,他の寄付者に当該非営利組織の存続の可能性が高い(あるいは低い)ことを知らしめる一つの情報となると考えるからである。また,非営利組織の財源に関連する研究内容を報告している学会に参加し,現時点における研究はどのように行われているのかという研究方法の調査・把握にも努めた。
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