研究概要 |
阪神大震災以降,日本の非営利組織の規模は拡大し,その数は増加している。このため,非営利組織においてその存続に関して競争が生じている。非営利組織は自らがどのように存続し,活動を継続していくのか,そのための資源をどのように確保するのかという問題に直面しているのである。そこで,本研究では非営利組織が活動を継続して行うためには,その財務基盤を何に求め,どのような会計を行うべきであるのかについて研究することを目的としている。 平成22年度は,非営利組織の会計について,その財源に注目して検討を行った。アメリカの財務会計基準審議会の定義では,非営利組織体の財源は主に寄附金という認識であるが,実際,日本の非営利組織について,内閣府がその財源について調査した結果では,主に事業収入となっていた。このことから,現在の非営利組織体の財務諸表は実態とかい離していると窺い知ることができる。 このため,非営利組織体の実態に合わせた財務諸表が,資源提供者等の利害関係者にとっては必要であろう。すなわち,非営利組織の寄附金のみならず,事業収入に関する情報の開示が非営利組織の会計の実態を表した財務諸表であると考える。非営利組織において,事業収入についても合わせて財務諸表として提案しているのは,アメリカの政府機関である。このため,本研究では,アメリカの政府機関の事例も取り上げ,日本の非営利組織の実態を財源の側面について研究を行った。
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