研究概要 |
本研究の研究課題は,経営者が平常時より株主との真摯な会話(中立的な会計情報の公表,丁寧な説明をおこなう株主総会の実施,など)をすることを通じて,企業買収のような非常時において株主からのサポートが期待できるか否かを実証的に解明することにある.研究期間2年度目である2009年度は,初年度の2008年度に引き続きデータベースの構築を進めるとともに,実証分析の分析モデルについて,各分野の研究者等と議論をおこなった. 具体的には,株主総会の丁寧さの代理変数である株主総会所要時間のデータベース作成作業を続け,2009年6月までに開催された株主総会について分析をおこなうための準備を整えた.また,研究協力者である久保田安彦氏(大阪大学法学部准教授)と議論を重ね,企業買収のうちMBO (Management Buyout:経営者による企業買収)に着目することについての示唆を得た.すなわち,敵対的企業買収からの防衛手段としてMBOをおこなう企業の特性を明らかにすることで,平常時の株主との対話が株価形成に与える影響について検討するものである.これを受けて,実際にMBOの案件に携わる実務家にもヒアリングをおこない,実務上の感触としての,MBOをおこなう企業の特徴確認した研究期間最終年度である2010年度は,集められたデータおよび得られた示唆をもとにして,実際の分析を行い,実証結果を得ることを予定している.
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