本研究課題は、これまでの組織間管理会計研究が購買企業側の視点に偏重している点や、供給企業での実態や貢献が限定的にのみ記述されている点といった、現時点での研究上の限界を克服することを基本的目的とし、こうした基本的な目的をふまえて、原価管理で見られる組織間での協働、協働が供給企業にもたらす貢献、協働に対して影響を与える要因を、供給企業側の視点からインタビュー調査や質問票調査を利用して解明することを、研究期間内での具体的目標としている。中間年度に当たる本年では、昨年度の文献研究とインタビューを踏まえ、組織間協働に関する包括的な大量サンプル調査を実施し、組織間協働やこうした協働に至るまでのプロセス(選択、情報共有、交渉など)、およびそのプロセスにおいてサプライヤー企業が求められる対応などに関ずる知見を収集した。さらに、組織間協働やこれに至るプロてセスに影響を与える要因についても、過去の研究を参考に必要な知見を収集した。これらは、本課題の目的を達成する上で有益な示唆を提供すると考えちれる。さらに、組織間管理会評研究の世界的研究者であるへンリ・テッカー教授(アムステルダム自由大学)と継続的にコンタクトを取り、研究に関する多くのアドバイスを受けている。 今後は、本年度の研究成果を踏まえて、収集したデータの分析を進めるとともに、本研究課題を含む成果の報告を広く実施する予定である。また、国内だけでなく海外の研究者とのコンタクトを継続的に取ることで、本研究課題の実現をより確実なものにすることを計画している。
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