本研究では、「利益の質(quality of earnings)」という言葉がアメリカの研究開発費会計・ソフトウェア会計・キャッシュ・フロー計算書の基準設定においてどのように取り扱われていたのかを調査した。当初は、財務アナリストが利益の質を実務上において用いたと思われる。しかし、利益の質が基準設定を通じてその他の利害関係者に広まるにつれて、その概念は1960年代後半の社会的・歴史的背景を離れて一人歩きし始めたと思われる。その結果、利益の質は、その言葉と概念の作用の結果として、経路依存性と考えられる事象を内包している可能性がある。
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