本年度は、研究課題初年度として、分析枠組みおよび仮説の構築など理論的検討を行った。さらに社会運動イベントのデータ・ベース作成に向けた準備作業を行い、実際のデータ収集に着手した。 まず、社会運動論、政治社会学、市民社会論、ガバナンス論、政治過程論などの先行研究を収集、整理した。その結果、社会運動や市民活動ばかりでなく、市民社会における様々な団体・結社の活動を総合的に捉え、団体間の比較を行うこととした。これにより、利益誘導型政治の崩壊や市民参加型ガバナンスの出現といった55年体制後の政治変動をより的確に捉えられる。また、これまでもっぱら社会運動を対象としてのみ行われてきたイベント分析の適用範囲を拡大することができる。さらに、対象とする地域についても、宮城県、茨城県、長野県に加え、これまで相対的に革新勢力が強かった北海道を対象に加えることで、従来からの変化をより明瞭に把握できると考えた。 データの元となる新聞記事については、北海道新聞の新聞記事データ・ベースを用いてオンライン上から収集することとした。これにより、電子ファイルとしてデータを保存することが可能となり、資料の管理やデータ作成作業のコストが低減できる。現在は、収集作業の途中であるが、それと並行させて文書データのコーディング作業を行う準備を進めている。さらに、コーディングにあたっては、非定形データの処理方法の応用可能性についても合わせて検討している。
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