子どものありのままを受容しようとする不登校の居場所は、一種のコミュニティを目指して運営されている。しかし、そこでは、「コミュニティとアソシエーション」「引き込みと押し出し」という二つの矛盾する要素が葛藤している。本研究では、複数の居場所のフィールドワークをとおして、実際の不登校の居場所が、これらの矛盾する要素をどのように調停しながら運営しているのかを、外部社会との関係から具体的に明らかにし、理論化する。その際、シカゴ学派社会学のコミュニティ研究を応用する。本研究の知見は、不登校支援の有効性が認められている居場所の運営を容易にし、さらに、社会的弱者の社会的統合を促進させる政策に寄与できる。
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