前年度に引き続き、日本とドイツで学生運動世代および環境運動従事者へのライフヒストリーの聞き取り調査と分析をおこなった。調査・分析の結果からは、前年度と同様に、ドイツの学生運動世代のなかでも現在も何らかの運動に関わり続ける人妥がおこなう自らの活動、の意味づけの際に、「学生運動世代」としての特殊ドイツ的な問題意識や世代責任の意識が影響していることがわかった。さらに、学生時代に専攻していた分野によって(大まかに分けて自然科学系か社会科学系か)、その後の環境運動へのかかわり方に相違がみられることについてもデータの補強がされた。日独比較のためには日本側の聞き取りデータが十分とは言えないが、それでも、相違点として、ドイツの学生運動世代が学生運動を成功の記憶として語るのに対し、日本め学生運動世代は語りたがらないまたはネガティブなイメージの表現を用いて語る傾向にあることが確認された。 これらの研究の成果は、国内の研究会等で公表されたほか、2012年3月にはドイツのバーデン・ヴュールテンベルク州、ヴァイスヴァイル村役場にて、調査対象者を含む市民に対する報告会でドイツ語で報告された。
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