本研究は、日独の「学生運動世代」を対象としたライフコース分析を通じて彼らの政治的社会化過程を導出し、1970年代以降に日独でみられた政治や社会運動をめぐる環境の変化との関係を明らかにすることである。そのためにまず、(1)学生運動とのかかわり方、ライフコース、政治意識の変化、社会運動へのコミットに関する質問紙調査を日独でおこない、日独の「学生運動世代」の政治観や政治へのかかわり方に関する構造的な特徴を導出し、日独間の相違を検証する。次に、(2)日独の「学生運動世代」を対象にライフヒストリーの聞き取りをおこない、学生運動の経験が個々人の社会観や価値観の形成に与えた影響や、「学生運動世代」としての集合的アイデンティティの形成過程、それらに基づく社会運動参加への動機付けの有無などに関して、より深層からの把握をおこない、(1)の相違点の源泉を導出する。
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