筆者は、歴史社会学的家研究をふまえた現代日本の家族・親族関係の解明をめざしている。この一大テーマに対し、本研究では、祖父母による子育て支援の実態と居住形態の関係、その背後にある家族観について実証的分析をおこない、三世代同居はごく少数であるが、条件が整えば祖父母の近くに住み、祖父母による経済外的なサポートを受けていること、その関係は、家の継承や老後の世話という伝統的家関係の延長上というよりは、母-娘関係を軸とする現代的要請が強く作用していることが明らかになった。ただし、家意識全体が消滅しつつあるわけではなく、仏壇や墓の継承意識は今なお高く、家族意識の変容は重層的にとらえる必要があることがわかった。
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