性同一性障害の診断場面における性別の取り扱われ方を明らかにするために、東京の精神科クリニックにおいてICレコーダー・ビデオデコーダーによる診察場面の録音・録画、65ケースのトランスクライブをすべて終了した。また、そのうち2ケースについて、分析を行い、データセッション・研究会などで検討した結果を、二つの論文に発表した。また、先に行なっておいた関東地方の医療者2名の分析を進め、論文を投稿した。さらに、関西地方の精神科医4名、中部地方の精神科医2名に対し、インタビューを行い、トランスクライブを完了した。関西地方の精神科医のインタビューデータに関しては分析を進め、近々論文を投稿予定である。さらに、関東地方の精神科医1名、臨床心理士1名、関西地方のカウンセリングも行う形成外科医1名に、インタビューの約束を取り付けた。 また、FtX (Female to X)やFtM (Female to Male)、加えて彼らを恋愛対象とする人びとが19名からインタビューの許可を得ていたが、そのうち14名にインタビューを行ったものの、全てのトランスクライブを完了した。今後、順次分析を進めていくつもりである。 東京・神奈川と奈良・大阪・京都での自助グループなどの集会に継続的に参加し、より性の多様なあり方を認め合っている傾向が関西地方にあることを把握し、それに関するシンポジウムを、企画実行し、100名あまりの参加者を集めることができた。 「性の越境を明らかにしながらの就労」の仕方、受け入れに関しては、2名について職場訪問を行い、複数の職場の上司や同僚にインタビューするとともに、本人にも、インタビューを行った。この調査に関するトランスクライブも、すべて終了した。
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