現在、従来の「日本型雇用システム」から新たなシステムへの移行に関する研究が、労働問題の大きな課題となっている。当然、これからの「賃金のあり方」も労使双方の重要な論点のひとつである。とりわけ、1990年代以降、賃金の決定基準を「ヒト」基準から「仕事」基準へ変更すべきであるという議論が活発になされるようになっている. とはいえ、当該分野において、国際比較を視野に入れた調査・研究は、まだまだ蓄積の余地がある。 そこで、本研究では、(a)日本における「仕事」基準賃金導入に関する過去の議論の整理・検討、(b)「仕事」基準賃金の概念・議論の整理及び従来の「ヒト」基準賃金との比較・検討、(c)「仕事」基準賃金導入の現状と、実際に日本国内で「仕事」基準賃金を採用してきた外資系企業の人事・賃金制度の変遷の3つの側面から、日本における基準賃金導入の意義と限界、そして将来への可能性を探ろうとしている。 平成20年度は、次の3つの研究課題を検討・分析するための文献及び各種資料の収集、ヒアリング調査をおこなった。 (a)日本における「仕事」基準賃金導入に関する過去の議論の整理・検討 (b)「仕事」基準賃金の概念・議論の整理及び従来の「ヒト」基準賃金との比較・検討 (c)「仕事」基準賃金導入の現状と、実際に日本国内で「仕事」基準賃金を採用してきた外資系企業の事・賃金制度の変遷 また、(a)〜(c)の作業によって得られた知見を研究会で報告し、他の研究者からの示唆を得ると共に、1年間の成果を論文にまとめた。
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