本研究の目的は、社会的ネットワークの指標として様々な形で用いられている、ポジション・ジェネレータ、リソース・ジェネレータ、ネーム・ジェネレータなどについて検討を行う共に、実際に調査データを収集し分析を行うことである。まず、ポジション・ジェネレータについて、群馬県桐生市、大阪府吹田市、東京都世田谷区といった都市度が異なる三つの地域調査データを用いて比較分析を行った。検証的因子分析を行ったところ、いずれの地域においても配置不変が確認された。指標間の相関構造の類似性が確認出来たことから、調査項目はいずれの地域においても同様の概念を測定していると考えられる。他方、都市度・社会階層と、社会的ネットワークとの関連の大きさについては、先行研究でさまざまなファインディングスが得られており、興味深い。考えられる理由として、例えば、用いるデータの違い(全国調査での都市度比較か、地域調査による地域間比較か)、学歴・職業・年収などの社会階層の測定の仕方の違い、社会的ネットワークの測定法のさまざまな違いなどがあり、これらについて考察を行った。また、社会階層、社会的ネットワーク、生活の質の間の関連について、上記地域調査データを用いて地域間比較分析を行い、都市度に伴って社会階層の効果が異なることを確認した。これらについてはThe Social Capital Foundation 2008 Conference、日本大学社会学会などその他で発表を行った。結果は3地点の比較に限られているため、調査データを増やすと共に、全国調査データを用いての比較分析を進めている。
|