本研究は、「女性職」である看護職の職場組織において、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた組織文化の変容可能性とそのメカニズムを、特に柔軟な勤務体系に着目することを通じて明らかにすることを目指している。この目的を達成するため、(1)文献研究、(2)理論的枠組みの構築を行った。 看護職場における先行研究からは、看護職は長時間勤務に従事しており、結婚・出産を機とした離職者が多く、就業を継続した場合には(1)日勤のみのパートタイマーでの外来勤務、もしくは(2)産休復帰後より病棟勤務で交代制勤務に従事するといった二極化がみられること、その背景として、組織内において「男性の正規従業員」モデルを「あるべき姿」としてきた組織文化がみられることがわかった。 こうした組織文化がいかに構築されてきたのかを解明するために、二つの分析視角を重視して方法論を組み立てる必要性を主張した。(1)女性看護職の間にある差異のパターンを検討するために、R.コンネルの「差異への注目から関係への注目へと転換を図る」との主張を取り入れる。(2)家族内でのケア責任を分析枠組みに組み入れるために、ライフの中でペイドワークを位置づけ、調和させる視点を採用する。
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