研究概要 |
本研究の目的は、1990年代後半以降の社会運動や社会運動組織の変容を、イベントデータおよび運動組織の時系列データを構築、計量的に把握し、市民社会の様態の変化を人々の「集い」の形態と組織化というボトムアップからの視点から検討することである。 本年度の作業成果は、第一に、昨年までに整備した抗議イベントデータ(1945-2005)を用いた分析を実施した。具体的には、第二次大戦後以降の抗議イベントデータを整備したドイツの事例と比較し、戦後日本の社会運動の動態を明らかにする作業を行った。発表媒体の関係で、論文自体の公表は2011年度中になる予定である。 第二に日本の環境運動組織に関する組織特性を示した包括的なデータセットを構築するべく、平成7,10,13,16,18,20年度の東京都の環境運動団体の変遷を明らかにするためのデータ入力を行い、環境運動組織の時系列データ(素データ)が完成した。時系列データを利用可能にするための整備は今後の課題であるが、昨年度完成した、平成20年度の全国の環境運動団体のデータと併せて、日本の環境運動組織に関する、時系列データと都道府県別のクロスセクショナルデータが完成したことになる。 第三に、国際比較が可能な環境団体データセット(カナダ、アメリカ、英国、アイルランド)に関する情報を収集し、国際比較分析への方策を得ることができた。
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