研究課題
韓国と台湾の労働統計を男女別・年齢層別に比較可能なデータとして整理し、労働市場構造の特性の違いについて日本と比較しつつ検診した。特に若年層について述べれば、日韓台で次のような違いがあるという仮説をまとめた。(1)日本では、新規学卒就職システムがそれなりに機能しているが、長期雇用慣行の存在は正社員と非正社員の格差をみ、とりわけジェンダー不平等につながっている。(2)韓国では、急激な脱工業化と非正規雇用の増大が、高学歴化とニート化の両極分解をもたらしている。(3)台湾では、脱工業化の進展が緩やかであることと、おそらく正規労働市場の柔軟性も背景として、ジェンダー問題を含む若者問題の解決が3か国のなかで最も容易である。今後は社会意識調査の二次分析や政策文書の分析、現地における政策担当者への聞き取り調査などを組み込みながら、以上の仮説が妥当性をもつかどうか明らかにしていきたい。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件)
『若者問題の比較分析-東アジア国際比較と国内地域比較の視点』(樋口明彦編)
ページ: 22-37
USAMI Koichi (ed.), Nonstandard Employment under Globalisation, Macmillan (forthcoming). (未定)
大原社会問題研究所雑誌 No.595
ページ: 18-30