研究課題
東アジア諸国の失業保険制度の意義を解明するための理論枠組みを構築する目的で、カール・ポランニや大河内一男の古典的理論、近年のVodopivecやILO関連の論者の議論などを参照しつつ整理した。その過程で、当該国のインフォーマル経済の大きさや性格が失業の意味を考えるうえで重要になることが改めて浮かび上がってきた。自営業者と家族従業者を足した割合(インフォーマル経済の代理指標)は、日本やシンガポールなどでは1割前後であるが、韓国・台湾では2割、タイでは5割、ベトナムでは8割近くを占める。こうした状況をふまえると、インフォーマル経済とフォーマル経済の関連や、農村と都市の労働市場の関連を考察することが重要だと思われる。そうした観点から中国の農民工の問題に注目し、深センと上海で農民工や職業紹介業者に聞き取りを行なうとともに、現地の研究者と情報交換し、文献資料の収集を行なった。このほか、今年度はタイ・インドネシア・フィリピンの福祉国家と労働市場に関する統計データの収集と分析に努めた。
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若者問題と教育・雇用・社会保障-東アジアと周縁から考える(樋口明彦・上村泰裕・平塚眞樹編)(法政大学出版局)
ページ: 31-53
新興諸国における高齢者生活保障制度-批判的社会老年学からの接近(宇佐見耕一編)(アジア経済研究所)
ページ: 213-232
Japan National Committee for Pacific Economic Cooperation (ed.), Towards a More Resilient Society : Lessons from Economic Crisis (Report of the Social Resilience Project)
ページ: 153-170