研究課題
本研究プロジェクトの課題は、東アジア諸国の労働市揚の特徴について、福祉レジームとの相互作用に注目しつつ比較分析することであった。最終年度である平成23年度は、インフォーマル雇用に注目して労働市揚と社会保障の相互作用を考察した。東アジア諸国の労働市場は多様であり、社会保障の拡充を図るにあたっても労働市場の特徴をふまえて制度設計する必要がある。その際、かなめになるのはインフォーマル雇用の問題である。インフォーマル雇用の壁を越えて社会保障の拡充を図っていくために、まずインフォーマル雇用の概念を使いやすくする必要がある。そこで、インフォーマル雇用に関する先行研究やILOにおける議論を検討したうえで、政府の規制能力と労働市場の特徴の相互作用が各種のインフォーマル雇用を作り出すという見通しを得、インフォーマル雇用に関する新しい概念図式を提案した(上村2012)。この提案は2012年4月のPECC(太平洋経済協力会議)シンガポール会議のレポートとして提出したほか、ILO関連のワーキングペーパーとしても刊行される予定である。
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社会科学研究
巻: 第63巻,第5・6号 ページ: 83-100
Towards a More Resilient Society : Lessons from Economic Crises(Japan National Committee for Pacific Economic Cooperation (ed.))(Report of the Social Resilience Project 2011)
ページ: 129-149
New Paradigm in Social Policy(Shim Chang Hack and Cho Young Hoon (eds.))(Seoul : ORUEM Publishing House)
ページ: 207-221