本研究の目的は、サブカルチャー集団の地域社会への参加の様態を、茨城県中央部で活動するロックンロールと呼ばれるサブカルチャー的活動を行う集団を対象に、活動場所の獲得そしてそめ維持に関して地域社会との交渉を通じた社会参加へのプロセス、および活動を通じた下位文化的なネットワークの形成、そしてそれ以外の社会生活との関連を明らかにすることである。本研究では、主にフィールドワークを中心とした現地調査、および新聞・雑誌のテクスト分析を併用し、データの収集と分析を行うものである。 平成20年度は、ロックンロールの歴史に関する文献調査と、茨城県中央部のロックンロール・チームへのフィールドワークを実施した。文献調査は主に1970年代後半から80年代にかけての雑誌および新聞を対象に行った。調査において、ローラーは1980年代初頭の「少年非行第三の波」期には、当時の不良少年の呼称である「ツッパリ」と同一視されながらその「ツッパリ」の下位文化め流行にともない80年代前半に全国に拡大し、90年代初頭には衰退した様子が明らかとなった。フィールドワークでは、対象地域においてロックンロール・チームが増加したこと、そしてチーム同士の連携が深まっていることが確認さた。80年代のブーム期以降、この地域ではロックンロールが主に暴走族を中心としたこの地域に居住する10代後半の若者の間で受け継がれてきたが、現在の担い手は10代から40代までと年齢層が多様化しつつあり、世代と地域を超えたネットワークが形成されていることが明らかになった。さらに、ロックンロールの広がりは、ロックンロール・チームだけでなく、ライブハウスでのイベントを企画するイベンターやバンドなど関連する他分野にも拡大し、ロックンロールを媒介としたより多様な集団の運合体が県内全域を対象として、結成されることとなった。
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