本研究の主な目的は、中高年女性が、美容整形手術などの美容活動を通じて、どのような主体を形成していくのかを明らかにすることである。 本年度は、大きく分けて、1. 整形に関する文献・資料の収集、2. アンケート調査およびインタビュー、3. 主体像を仮説的モデルとして検討、という三つの作業を行う予定としていた。つまり、文献研究、調査、理論構築の三つである。 まず、整形に関する文献・資料の収集について行ってきた。特に、学術書だけではなく、雑誌やパンフレットなど、人々の美容や整形の動機付けに影響を与えてきたマスメディアの収集に力を入れた。これにより、近年における中高年女性の美容意識が、ある程度まで見えてきた。 次にアンケート調査は、本格的な実施には至らなかったが、質問項目の精査などを行った。インタビューについては、補助的なインタビュー(プレインタビュー)を数件行った。プレインタビューとは本インタビューの足がかりとするものである。ただし、本年度、プレインタビューも用いて論文を執筆した。この論文は、単行本に寄稿してある(来年度に出版予定)。 最後に、主体像の仮説的モデルの検討は、現在行っている。特に、メディアを通して見えてきた主体像をより精緻化する作業を中心に進めている。
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