本研究は、母子家庭への就労支援と自立に関する実証的研究である。母子家庭の母親への就労支援が、どれほど貧困削減に効果があるのか。実際にどの程度母子家庭の仕事と生活を安定させ、貧困から脱却させることができるのか。こうした点は、わが国の研究者の間でも十分検証されているわけではない。そのため、就労支援を受けた後の母子家庭の就労と生活等の実態を調査研究することにより、現在行われている就労支援プログラムの効果や課題を検証することを目的としている。具体的には、平成18年度に行った母子家庭等就業・自立支援センターの利用者追跡調査に引き続き、今年度は、平成18年度に行ったアンケート調査回答者199人のうち、継続的に調査に協力すると回答した129人を対象にし、就労・生活・子育てあるいは社会関係などに関し、第2回目のアンケート調査を実施した。その結果、88名(回収率68.2%)の者から回答を得ることができた。なお、本研究では、さらに面接調査を行うことで、より詳細な生活実態を把握し、就労支援をはじめとする総合的な支援体制の確立に向けた課題を検証したいと考えている。そのため、アンケート調査において、詳細な面接調査に協力を得られる者を募った。それにより、25名の者について面接調査の同意を得ることができた。なお、面接調査については、調査チームを編成し、平成21年度において、インタビュー調査を実施する予定である。
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