本研究は、母子家庭を対象にし、就労支援策を政策実施場面に即して評価し、母子家庭の社会的自立にむけた課題を検証することを目的としている。 平成17~19年度基盤研究(C)(課題番号:17530414)に基づき、2006年9月に行ったA自治体の母子家庭等就業・自立支援センター利用者を対象にした追跡調査では、460名中129名の回答を得た。この調査結果では、就労支援をうけ仕事に就くなど、一定の効果が確認できたものの、雇用形態や就業条件などが不安定な者が多く、低所得構造から抜け出せないでいることが確認できた。 本研究では、この回答者を対象にし、経年的な追跡調査を行うこと子によって母子家庭の社会的自立に向けた課題を明らかにすることに狙いがある。1年目の昨年度は、2009年2月に第2回目の追跡調査を行った。その結果、88名から回答を得ることができた。さらに回答を得た88名のうち、24名から追加の面接調査に承諾を得ることができた。 本年度は、この第2回目の追跡調査の結果を分析するとともに、調査結果を社会福祉学会および貧困研究会などで報告した。面接調査対象者24名のうち11名について2009年6月に面接調査を行った。なお面接調査に当たっては、調査チームを複数で構成し調査した。この面接調査では、母子家庭になる過程を生活史から確認するとともに、就労の継続性や具体的な就業条件、あるいは生活・子育ての現状について詳細にヒアリングすることに心がけた。 その他、母子家庭への就労支援を行っている福祉事務所の取り組みについて関係者からヒアリングをするなどした。
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