2006年度就労支援を受けた母子家庭を、再度2008年度も追跡調査を行った。その結果、就労支援を受けたシングルマザーの8割以上が現在就労しており、収入や勤続年数においても第1回目(2006年度)調査よりもやや高い水準を示すなど、一定の効果を確認することができた。しかし、世帯の経済状況は2006年度と2008年度で比較しても、全体として大きな変化は見られず、依然として貧困状態を脱却できないでいた。 一方で、生活費を補填するなどのために民間の金融機関等から借入をしている世帯が全体の約2割存在するなど、日常的な家計のやりくりが月々の収入だけでは困難な状況もうかがえた。こうした結果をふまえると、仕事に就かせることを狙いとする「ワーク・ファースト型就労支援」ではシングルマザーを不安定な労働市場へと「再投入」するに過ぎず、母子家庭の貧困・低所得構造を脱却することはできないことを本研究で明らかにした。
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