研究概要 |
本研究の目的は,東アジア諸国・地域(主に日本, 韓国, 中国, 台湾)における福祉諸制度・政策を,「遅れてきた福祉国家」という視点から比較分析し, 比較福祉国家研究の新しい理論構築を目指すものである. そのため, 2008年度は, 大きく理論研究と現状分析とに分けて研究を実施してきた. (1)理論研究においては, 比較福祉国家研究の新しいアプローチとして「遅れてきた福祉国家」について検討を行った. その結果, 論文として「日本における福祉国家研究-2つの潮流とその合流」, 学会などでの口述発表として, 「東アジア福祉国家研究と日本の役割-『先発国のなかの後発国』・『後発国のなかの先発国』」とLate-coming Welfare States : a New Perspective from Koreaを発表し,また以前からの日韓比較研究の成果を含むかたちで単書として『後発福祉国家論-比較のなかの韓国と東アジア』を出版した. (2)現状分析においては, 日本, 韓国, 中国, 台湾の福祉諸制度・政策の現状と歴史的展開過程についての研究を行った. その結果, 論文として「李明博政権の福祉政策-方向転換か変わらぬ道か」, 「日本, 韓国, 台湾における若者貧困と社会保障-福祉国家体制への示唆」を発表し, そして翻訳書(韓国語)として『日本の社会保障-理論と分析』と『日本の介護保険制度-導入と改革』を出版した。
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