本研究は、自閉症スペクトラム圏にある子どもたちへの早期発見・早期療育にあたって、地域の保健師・保育士・幼稚園教諭のスムーズな連携によるチームアプローチ実現のためのデータベース構築を目的に、以下の3点を明らかにすることであった。第一に、早期発見・早期療育を地域レヴェルで実現するために、地域の保育・教育・福祉現場の専門職が、障害に関する正確な共通認識・共通理解を持ち、早期発見・早期療育におけるチームアプローチの必要性を認識し、綿密にディスカッションを行い、適切な支援をできる体制を構築する。第二に、早期発見・早期療育に必要な、乳幼児期に出現する自閉症スペクトラムの特性を整理・分類したデータベースを構築する。第三に、職種の異なる専門職が正確な知識や自閉症スペクトラムの子どもたちへの支援の理念を共有するために、乳幼児期の自閉症スペクトラムの行動特性から、支援の基盤となるようなマニュアルを作成する。 平成23年度においては、本年度の研究実施計画に基づき、主に以下の2点を遂行した。 第一に、これまでの研究期間に収集した基礎データをもとに、職種の異なる専門職が正確な知識や自閉症スペクトラムの子どもたちへの支援の理念を共有するために、乳幼児期の自閉症スペクトラムの行動特性から、支援の基盤となるようなマニュアルを作成した。 第二に、作成したデータベースを用いて、乳幼児健康診査における早期発見から幼稚園・保育所での早期療育に繋げ、保健師・保育士・幼稚園教諭が「乳幼児期の自閉症スペクトラム行動特性マーカー」を活用した、チームアプローチを行う支援体制のシュミレーション例を作成した。
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