本研究は、福祉人材育成の理論及び方法の確立を目指し、都道府県・指定都市社会福祉協議会等の研修事業実施機関における、「研修カリキュラム」に焦点をあて、カリキュラムデザイン(研修の体系化)、インストラクショナルデザイン(研修プログラムの開発・評価)及び、そのプロセスを包括する概念である「福祉人材育成カリキュラムマネジメント」の理論構築及び方法について具体的に提言することを目的とするものである。初年度(平成20年度)は、研修プログラムの開発・評価の方法論の構築を目指し研究を進めた。 研究方法としては、平成20年12月にA県社会福祉協議会の研修部門職員へヒアリング調査を行い、・その課題に基づきA県社協職員とともにモデル事業を実施した。具体的には、インストラクショナルデザインを社会福祉研修に援用し、研修担当者と研修準備シート及び評価表等の開発を行った。 A県社会福祉協議会におけるヒアリング調査からは、研修プログラム開発手順の明確化及び評価方法が課題として抽出された。その課題克服の方法論として「インストラクショナルデザイン」を援用した研修プログラム開発手順のシート及び評価表を作成し、研修担当者の目線に立ちながら改良を重ねていった。その結果、受講者への事前インタビューや過去のアンケート結果等のデータに基づく研修ニーズ抽出方法及び、効果的な評価につながる研修目標・学習項目の精査方法等のマニュアル化が可能となった。 つまり、インストラクショナルデザインを社会福祉研修の文脈から加工することにより、理論的背景をもった福祉人材育成方法の足がかりを築くことができた。
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