本研究は、福祉人材育成の理論及び方法の確立を目指し、都道府県・指定都市社会福祉協議会等の研修事業実施機関における、「研修カリキュラム」に焦点をあて、カリキュラムデザイン(研修の体系化)、インストラクショナルデザイン(研修プログラムの開発・評価)及び、そのプロセスを包括する概念である「福祉人材育成カリキュラムマネジメント」の理論構築及び方法について具体的に提言することを目的とするものである。 平成22年度は、都道府県・指定都市レベルの研修カリキュラムデザインの具体的手法について整理した。具体的には、カリキュラム理論に基づき、作業プロセスを以下のとおりまとめた。 1.県・指定都市レベルの人材育成理念の設定、人材育成方針の明確化 2.各職種・職階に求められる能力・機能の洗い出し(業務の棚卸し)と整理(キャリアパスとの連関) 3.都道府県・指定都市レベルの研修カリキュラムの策定 4.都道府県・指定都市内の社会福祉研修実施状況の落とし込みと実施機関内の役割分担(研修範囲の明確化) 5.各機関における年間研修スケジュールの策定 今後は、上記の手順を、研究者が研修体系の見直し作業に関わっている、A県社会福祉研修実施機関において、社会福祉専門職の委員と共に検証し、生涯研修(新任・中堅・指導的研修)等の演習で従事者自らに業務を棚卸ししてもらうなど、キャリアパスを意識した、現場で活用できる研修カリキュラムの策定を目指す予定である。
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